「ひまなか(中野裕司)」の感じ、考えたこと・・・・・・・・・。                                  ML・FBなどの投稿を掲載します。

築土(石)樹木根系補強土 1 提案書に対する質問

築土(石)樹木根系補強土提案書

「東日本大震災津波被害地に対する築土(石)根系補強築堤に関する提案書」は実に興味深く読みました。ただP10の下から6行目の「切土残土を住宅地などに転用することは避け、・・・の築造に使用することが望ましい。」 この理由が分りません。

地震による地盤液状化に弱いマサ土であっても地下水位の低い高地であれば転用可能だと思います。

嚆矢はコンクリート防潮堤に替えて軟弱地盤に追随可能な築堤の提案で100年以上の耐久性を担保しようたした点にあると思います。元寇の時の防塁跡はいまも博多湾に残っています。

いたずらに開閉式防潮堤しか浮かばなかった私ですが、築堤できない湾の開口部を津波の時どう防ぐのかは残った課題です。諫早湾のギロチンも100年持ちはしないでしょうし・・。

樹木治療研究会 代表
一般社団法人 日本樹木医会
福岡市南区花畑3-38-8
大神邦昭 090-3605-0743

返答

津波による海岸防災林の再生への取り組み、林野庁の委員会のとりまとめが出ました。

私が事務局をおおせつかっているNPO法人日本緑化工協会の緑化工技術講習会では、検討会座長の大田先生にお出ましいただき、検討結果について報告いただきました。

東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/tisan/kentou.html

土手の高さ、震災瓦礫の利用など、あまり進展は認められません。
抜本的な方向を示してほしかったと思います。

コンクリート構造物は、ここ50年の取り組み、歴史の重みという面での検証は不十分です。本来の土木構造物は土と石と木材です。歴史の検証を十分に受けておりますが、均一な品質の確保という点で、マイナーな評価を受けております。

しかし、災害という長期のスパンの事柄については、歴史の重みに耐え残った伝統的な手法が有効と思います。また、作業・メンテなどを勘案するならば、経済性の点でも優れているものと思います。
土木技術の蓄積は、ここ50年余り、均一性という尺度のみならず、歴史の重みという観点から、技術を見直さなければならないものと感じております。

むろん、コンクリートを否定するものではありません。
港湾施設などコンクリート構造物により、がっちり守りつつ老朽化したならば手を入れるという剛的な手法を用いるべき場所、海岸林と防潮堤の機能を併せ持つ、築土(石)根系補強土、柔構造による自然回復型の長期間維持可能な箇所、なにも設けることなく、自然海岸を残す場所とゾーニングし、メリハリを作ってほしいものです。

三陸筋は今後しばらくは津波被害が来ないものと考えられますが、モデル的に構築し、仕様をつくり、東海・東南海地震にそなえ、西日本の長い海岸線にたいする備えの参考に供すことがよいのではないかという提案でした。

海岸防災林・防潮、今後は、自治体レベルの話になってゆきますから、どこかでモデル的に手がけていただきたいものと願っています。

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マサ盛土の液状化については、緑化工学会都市緑化研究部会による、浦安の液状化調査での知見を基にした発言です。

緑化工学会都市緑化研究部会における浦安地盤液状化と公園・緑地に関するシンポでの私の担当分のレジメを掲載します。H231013浦安シンポレジメ(中野)

浦安の埋立地は、海の高さよりも高く盛り立てているわけですが、浚渫盛土を抑えるため海側に堤防をこしらえております。
これにより、雨水などが埋め立て地盤のなかに滞留し、地下水位が高い状態となっておりました。ガスの復旧のための掘削箇所を見ますと30cm程度に湿潤線が認められます。
SH型を用いて貫入試験を行いましたが、1.5m程度以下はNd5以下、グズグスの状態でした。

SH型貫入試験については、下記HPをご覧ください。
表土層調査技術研究会
http://www.hyoudoken.jp/

また、一般に地下水位の高い箇所に盛土すると、水分供給かなされ、毛管水によるものか、湿潤線が高くなることも観察されております。

三陸筋では、津波による被災を受けない高さまで盛土するということですから、盛土高さは15~20m程度と推定されます。三陸筋はマサが多いため、浦安と同じような状態となるのではないだろうかと推測したわけです。

どのような土留め構造とするのかは不明ですが、盛土する箇所は低地・海岸部でしょうから地下水位は高く、かつ、雨水が貯留しやすい状態となり、液状化が発生しやすい地盤条件となるのではないかと考えたわけです。

中越沖地震の際、能登自動車道の盛土の崩れが多発し問題となりましたが、ボーリング結果では、多くの盛土のN値は5程度でした。盛土当初は適正に管理が行われたとしても、長期間のうちには雨水が滞留してしまいます。

SH型によるNd値は、ほぼN値と同値です。浦安の地盤は、1.5m以下はNd5以下であり、地震後も軟弱地盤のままでした。また、このことは、浅層の部分も液状化し、墳砂が発生したものと考えられました。

浦安の調査結果をめぐるシンポジウムでは、今後の減災をはかるため、高い地下水位を下げる方法についての討議がなされましたが、面積が大きく、海に近く勾配を取れないことなどから、その対策の決め手は見出すことができませんでした。

このシンポについては、近々発刊される緑化工学会誌に掲載されます。
興味のおありの方は、ご覧ください。

以上

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