「ひまなか(中野裕司)」の感じ、考えたこと・・・・・・・・・。                                  ML・FBなどの投稿を掲載します。

5月, 2012 のアーカイブ

大谷中学校環境学習 森と海をつなぐ

津波被災により自然の海岸が戻った

津波被災により、人為的に手を入れたものが流され、 自然の海岸がもどった。 

この点については、津波直後より指摘し、自然に戻った海岸を保全しようと呼びかけてきた。
その一貫として、震災瓦礫を活用した緑の防波堤・多目的防災林を自然海岸の背部に造成し、
築堤の森と海岸を結ぶエコトーンを造ろうと提案をしてきた。

この自然の海岸の変化を見守り、観察を続けようと言うことで、気仙沼市大谷在住の小野寺
雅之氏の要請により、平成24年5月11日、海岸エコトーンに関する環境学習を実施した。

対象は大谷中学校の2年生、午後の2時間をあて、1時間目は海岸へ出て観察、2時間目はパ
ワーポイントを用いての座学である。
朝から雨模様であったが、海岸へでる時には雨が上がり、海岸の地質・土壌などについて観察
した。

海岸の地質状況 

海岸には、古生層とみられる泥岩とその熱水変成による粘土層が出現しており、柔らかな粘土
層が海食により短期間で変化する様が見受けられる箇所である。
この粘土が、海水中へミネラルを補給するためか、当地域の海草の生育はすこぶる旺盛である。 

                    ↓ 泥岩
  
     遠 景              近 景          ↑ 粘土化

右側(奥)は亀裂の発達した硬質な砂岩・泥岩(シルト岩)であり、手前は熱水変成により
粘土化したものと考えられる。見かけは岩盤状であるが、指が突き通るほど軟質である。
海岸には、砂岩・泥岩に取り込まれていたと考えられる円礫が堆積している。

海食を受ける粘土層

   海食を受ける粘土層        指が入るくらい柔らかな粘土層
                    粘土層の中に円礫が認められる

土壌断面と浸食による変化
砂岩の上に黒土が堆積するが、その中に円礫の層が認められ、津波の履歴と考えられる。
この状況については、小野寺氏のブログに詳しい。
沼尻海岸の津波被災前と被災後、及び震災後の浸食による変化の画像が掲載されており
興味深い。一読することをおすすめする。

三陸新報の取材

その状況については、5月12日の『三陸新報』に掲載された。
『三陸新報』2012.5.12
小野寺雅之氏は、大谷地区での環境学習活動のリーダーであり、当日、午前中は被災
後に造成した学校ビオトープ周辺の冬水田んぼでの生物調査の指導を行い、午後は海
岸エコトーンと終日大活躍であった。
小野寺氏の活動は、氏のブログに詳細に報告されており、ご覧いただきたい。
http://chinomori.exblog.jp/


津波被災地1年後の状況確認~訂正 ⇒ 気仙沼視察.pdf  

先に掲載した津波被災地1年後の状況確認について、小野寺氏の指摘により一部訂正
した。

※ 田んぼの作付けについて
水の張っている田んぼは、学校水田で、児童の要望により被災にもめげず、作付けを
行っていた。
その成果が認められ、日本水大賞で文部科学大臣賞を受賞した。

地元の古老の話では、津波の後は豊作となるそうだ。

昨年は、その言い伝えのとおり、大豊作だった。
津波による過剰な塩類による障害は問題ですが、排水の良好な箇所は数回の降雨で塩
類が抜け、適当なミネラルが残されるためと思われる。

津波被災の田んぼは、作柄は不良であってもミネラルにより、うまい米がとれるので
はないかと考えていたが、 それ以上の効果があったよだ。

海では、津波の後は豊漁となるという言い伝えがあり、また、陸では、津波の後は豊
作となるとの言い伝えがあることが確認できた。
自然の豊かさと、人間のたくましさを感じた次第である。

以上

震災瓦礫活用 緑の防潮堤・多目的海岸防災林 岩手日報掲載 + 負の遺産は残すな

震災瓦礫を活用し、防潮堤や海岸防災林を再生するマウンドを造ろうという
提案をしてきた。

これにより、樹木が生育する緑の防潮堤とすることができ、また、津波被災
を軽減するための防潮堤機能を備えた多目的海岸防災林とすることができる。

漁業・港湾サイドからに言うならば、緑の防潮堤。
林野・防災林サイドから言えば、多目的防災林と言うことになる。
言葉は違えども、本質的には同じものといえる。
有り体に言うならば、予算の出所が違うという人様の都合で名前が異なるも
のとなる。 

このような機能をもつ築堤・マウンド造りを、私は、築土(石)根系補強土に
よる築堤と称し、機会をてらえて発信してきた。

今回、この提案を「三陸エコビジョン」を推し進めている「遠野エコネット」
の千葉和さんが岩手日報の記事にしてくれた。
 ⇒ H240429岩手日報緑防潮堤・千葉和氏

記事内容は、技術的な部分に関する記載となったため、補足をしておく。

震災瓦礫と称しても様々なものがある。
瓦礫とは、本来廃棄物行政の用いる言葉で、コンクリート殻など無機質系、木
材など有機質系を含む。ごみ・廃棄物として処理すべきものという前提の
行政用語である。
この廃棄物行政用語が、マスコミが用いたため、誤解が生じている。
一般に、瓦礫というと木材などは含まれないが、廃棄物行政では木材までも
含め瓦礫である。 

国交省では、現場から廃棄物を出さない「ゼロエミッション」の取り組みから、
これらは建設副産物ととして取扱、コンクリート・アスファルトなど無機質系
のものと、抜根・伐開材など有機質系の資材に分けてその活用を行っている。
活用という前提での交通整理といえる。 

私の提案は、この震災瓦礫の活用に関するもので、コンクリートやアスファル
トなど無機質系の震災廃棄物を石とみたて、盛土中に混合しマウンドを造る事
を基本としている。
盛土中に有機物を混入してしまうと、嫌気的な状態で分解・発酵し、植物の
生育障害となるばかりでなく、分解した後空洞となりマウンドの構造物として
の強度をたもてなくなってしまうからである。 

自然の地山は、表土か薄く、樹木は地山基岩の割れ目に根系を侵入させ、樹体
を支えるとともに、水分の吸収を行っている。
コンクリートやアスファルトなどを大きく砕き塊状として、もり立てることに
より、塊と塊の間に隙間が生じ、その隙間に樹木の根系が侵入することとなり、
自然の樹林地と同様な基盤を造る事ができる。

むろん、コンクリート塊はアルカリ性となり根系侵入を阻害するため、流木・
流失家屋などの木材を堆肥化し、コンクリート塊とコンクリート塊の間に充填
することにより、樹木根系の侵入を容易にすることができるようになる。
このようにするならば、マウンド深くまで樹木根系を侵入させることができ、
樹木とマウンドか一体となった補強土構造を築くことができる。

コンクリートを用いるようになり、巨大な構造物まで造ることができるように
なり、また、要求する品質を得られ、設計・監理しやすいため、コンクリートは
多用されてきた。

しかし、コンクリート構造物の耐用年数は50年程度である。これが土木で言う、
永久構造物である。近頃では、耐久性を改良した100年コンクリートや、補修
を行う事により耐久性を増す工夫がされているが、それでも耐久年数は100年程度
といえる。

これに対し、津波は50年、100年、1000年という長期スパンで発生する。
いわゆる土木的な考え方、手法とは時間の位相が異なるものと言える。

税金を使い、多額な投資を行い頑丈なコンクリート構造物を造ったとしても、残
念ながら次の津波襲来の際には老朽化している、あるいは、作り直さなければ役
にたたないものとなっている可能性が高いと言える。
今回の津波でも、防潮堤の被災は大きく、あまり役に立ったとは言えない。
莫大な投資が、あっという間に無になってしまったわけである。 

防潮堤は、もともと海岸・砂浜の地盤の脆弱なところに建設されているため、地
震による震動、あるいは地盤液状化の発生により、堅いコンクリートは追随でき
ず、目地などが緩み、押し寄せる波、引く波により洗掘が発生し、破堤・倒壊し
たものと考えられる。

このように考えるならば、コンクリート構造物による防潮堤は、維持管理を行い
つつ定期的に作り替える必要がありながら、なおかつ、大型津波の発生の際には、
効果が期待できない恐れがあると言わなければならない。

このような懸念を避けるためには、莫大な予算をかけしっかりとした基礎工事を行い、
入念な維持管理を行いつつ、老朽化した箇所は作り替えるということを持続的に行う
こととなる。
現在は、このような方向で防潮堤の建設へと邁進しているように見受けられる。

今後の社会は、少子化へ向かい税収が減少して行くことは明らかである。
これまで構築してきた道路網・橋梁などの維持管理費すら捻出が困難になってきてい
る今日、巨大なコンクリート防波堤を作ることは、子孫に対して負の遺産を残すこ
とに繋がる可能性があると言わなければならない。

善意の結果、子孫へ負の遺産を残すという皮肉な結果になりかねない取り組みを行っ
ていると言える。

善意で行った結果、子孫へ負の遺産が残ってしまったという悲劇をさけるためには、
歴史の年月に耐え残った、歴史的な建造物に学ぶ必要があるものと考える。
古墳など歴史的建造物がそれにあたる。
これらの建造物は、「築土構木」という「土木」の語源となっているように、基盤
は土と石をうまく用い、建築資材として木材を匠に用いている。
防潮堤の建設にあたっても、このような歴史的な時間に耐え残った構造物に学び、
子孫に感謝される構造物を残したいと考え、築土(石)根系補強土による築堤につい
ては、提案した。
震災瓦礫を活用して時間の重みに耐えてきた歴史的建造物に類したものを造ろうと
提案である。

ただし、コンクリート構造物・防潮堤を否定している訳では無い。漁業・港湾施設
のように重点的に守らなければならない箇所は、がっちりと守る、津波被災が人災
に繋がらない箇所は、防潮堤を造る事なく、自然の海岸はしっかり保全する、この
中間ゾーンに対し、緑の防潮堤・多目的防災林を造るなど、総合的な観点からゾー
ニングを行い、目的と機能を明確にすることが必要である。 

「津波で大規模な被災が発生したから危ない・危険だ」と、いたずらに恐怖感をあ
おり、構造物により守ろうというこれまで通りの姿勢ではなく、人知では、人間が
こしらえた構造物では自然の災害から人を守ることができないという真摯な反省に
立ち、自然と順応的に生活するという立場に立ち、子孫に感謝されるよう、知恵を
絞り出すときと言える。

このためには、これまでのルールを前提年、これに従わざる得ない行政サイドに
任しっきりにするのではなく、地域の特性・事情・風土に合った取り組みが行われ
るよう、地域住民の声の結集が必要になる。
                                  以上

津波被災地 1年後の状況確認調査 震災瓦礫処理・緑の防潮堤など

昨年4月に、震災復興支援、及び被災地の自然回復についての状況確認のため、
自然環境復元協会有志による現地調査を実施した。
⇒ H240422気仙沼視察

私が参加した目的は、津波によって流された海岸林の跡地に震災瓦礫の集積が始まっており、
震災瓦礫が片づかないと海岸林の復旧に取りかかることができないという話が伝わってきた
ため、震災瓦礫を活用した築堤を行い、海岸防災林を再生できないか確認するためであった。
震災瓦礫を撤去することなく、その場で活用できるならば、一挙両得と考えたからだ。

三陸筋の海岸・谷を埋めるという処理方法は避けるべきだが、かといって、他所に震災瓦礫
を運搬し処理するのも経済性・環境面で問題が大きいため、他所に持ち出すことなく、発生
したその場での活用法を探ることが必要と思ったからである。

瓦礫・廃棄物と考えると処理は困難となるか、生産生を持つ土壌として現地に還元できるなら
ば話は別である。このため、震災瓦礫の土壌資源化を図ることができないかの確認を行った。
結果、震災廃棄物の土壌資源化は可能と判断し、築土(石)根系補強土による築堤を行い海岸
防災林、緑の防潮堤を造ろうという提案を、機会をとらえて発信してきた。

これは、コンクリートなど無機質震災瓦礫を石とみたて、石礫混じりの築堤を行い、津波に
よる流木、倒壊家屋などの木材(有機物)は堆肥化させ土壌に混合し、あるいは、生のまま
チップ化しマルチング材として用い、その上に樹木・草本類を生育させ、植物の根系の緊縛
力・杭効果により、築堤の浸食防止と補強を行うというものである。

同様の提案を横浜国大名誉教授宮脇氏が行い、環境省、野田首相が震災廃棄物を活用した防
潮堤を造るとの発言がなされたことより、方向性が定まったと思いきや、現地から津波被災
を免れ生き残った海岸林を伐採し、コンクリート製の防潮堤造りが始まっているとの情報が
よせられたため、今一現地の状況の確認を行わなくてはならないと調査、確認に出かけた。
時間の関係で仙台平野の状況の確認はできなかったが、気仙沼~宮古に掛けての状況確認を
行うことができた。⇒ レポートH240422気仙沼視察

その結果、海岸部では次の状況が確認できた。

・海岸部では

1.津波により浸食された海岸には自然回復が始まっている。
2.しかし、残された海岸林を伐採し、大型土嚢による仮設防潮堤が建設されている。
3.仮設防潮堤の位置が不適切と考えられ、陸域と海岸の移行帯が寸断されている。 

津波により、自然海岸が取り戻されたといえ、この自然海岸を保全するよう防潮堤の
必要性、位置、構造などについての協議が早急に必要である。
一方で高台移転による復興を進めつつ、一方では今回の様な津波被災を防ぐという前提
での復旧が計画・実施されようとしている。
縦割り行政の弊害といえる事態が発生している。

高台移転が前提ならば、港湾施設など重要部の周辺のみの対策で足りるはずであり、全域
防潮堤とする必要性はない。
地域の復興という全体・総合的な観点・計画の中で、防潮堤の築造など部分を煮詰めるこ
とが重要である。

・震災瓦礫については

4.瓦礫の集積が進み、片づいて来ている。
5.その一方で、最終的な処理方法が定まっていない。
6.築土(石)根系補強による緑の防潮堤・海岸防災林(多目的防災林)の造成が望まれる。
  今回は、以前木材堆肥化物を今後したコンクリート殻により法面補強を行い、ケヤキ
  を植栽した場所について、堀取り調査をおこなった。
  法面が崩れないよう締め固めたたため隙間が潰され密実になっており、根系発達はす
  こぶる良好という状態ではないが、コンクリート瓦礫の間の隙間へ根系侵入している
  ことは確認できた。  

先にも記したように、震災瓦礫は他所へ持ち出すのではなく、現地で活用することを大前
提とすべきである。現地で活用すべく、あらゆる知恵を絞ることが重要と考える。
東京都は廃棄物の海面埋立をやっていた。無機・有機を問わず分別することなく埋立を
行い、覆土し港湾施設・公園を作った。夢の島・お台場(13号埋め立て地)などである。
その港湾部が現在は、東京臨海副都心となり、大勢の人が訪れる場となっている。
このような前例を参考とするならば、震災で裸地になった一角をコンクリートなど無機
性の震災瓦礫で盛土し、木材など有機性廃棄物は堆肥化し、土砂と混合し土壌資源化
するならば、新たな街づくりが可能となる。
他所へ持ち出すことなく、緑の防潮堤、街づくりの基盤材など、瓦礫・廃棄物ちという
イメージを払拭し、自ら処理・活用するための知恵を出すことが重要と考える。

・津波により立ち枯れとなった樹木の処理

7.津波被災により枯死した樹木の伐採が始まっていた。
8.過剰な伐採と思われる箇所があった。

活用されて以内ならば、震災廃棄物の増大に繋がるとともに、斜面の場合、次第に樹木
の腐朽により根系緊縛力が失われ、表層崩壊を起こす可能性もある。
廃棄物処理、法面安定など総合的な観点から整理しつつ、進めて行く必要がある。

以上