茨城県法面技術協会主催「のり面工・植生緑化工技術講習会」で、道路土工-切土工・
斜面安定工指針のなかの景観・環境、及び法面緑化の部分について講習を行いました。
事前申し込み者が官庁・コンサルタントが、70名強、施工業者が20名と言うことでした
が、最終的には100名を超える出席があったものと思います。
会場はびっしりとなりました。
のり面工・植生緑化工技術講習会
日時:平成24年8月24日(金) 13:30~16:40
会場:(財)茨城県建設技術管理センター
演題/講師
1.「道路土工-切土工・斜面安定工指針」の切土工、抑制工、抑止工、排水工について
上野将司 応用地質(株)技術本部技師長 博士(工学)、技術士(応用理学・建設)
2.「道路土工-切土工・斜面安定工指針」の景観・環境対策、植生緑化工について
中野裕司 エコサイクル総合研究所/中野緑化工技術研究所
非営利特定活動法人日本緑化工協会技術委員長 技術士(森林)
上野さんは、豊富な事例をもとに法面保護工・安定工の全容について講演され、
土工指針の内容に対する理解が進んだものと思います。
道路に対する土石流、表層崩壊は、周辺の地形・地質状況をキチッと見定めることに
より、防止することが可能箇所が多々あり、そのポイントなどについては大いに参考と
なったものと思われます。
私に与えられた課題は2.景観・環境対策、のり面緑化工です。
上野さんは、土工指針検討小委員会委員、および執筆者ですから解説する資格者と
言えます。私は委員ではありませんが、指針改定の際、法面緑化工の部分の添削を
依頼され、問題点の指摘を行ったという立場で、話をしました。
このため、タイトルを次のように変更をしました。
「道路土工-切土工・斜面安定工指針」景観・環境対策、のり面緑化工の補遺・解説
公の指針に対し、補遺・解説をしようというのですから、何様だ、という事になりますが、
残念ながら、法面緑化の部分は荒削りで未完成と思われるため、不足する情報を入れ
込みつつ解説を行いました。
不足する点としては、次の項目を挙げることができます。
1.地域区分(環境区分)が示されていない。
環境・景観対策の項目では、「自然環境対策の考え方の一例」として、
A.特に注意を要する自然環境地域
B.上記以外の自然環境地域
C.自然豊かな都市環境地域
と3区分され地域区分、ゾーニングの例が示されております。
このような例が掲載されていながら、のり面緑化工には地域区分に関する言及がなさ
れておらず、このため、外来牧草を用いた急速緑化を行うことができる箇所、生物多
様性に配慮しなければならない箇所などをどのように区分するのかが不明となっている。
この点については、林野庁計画課施工企画調整室が平成23年1月に配布した、
「林野公共事業における生物多様性保全に配慮した緑化工の手引き」において緑化
水準として整理がなされており、参考に供する必要がある。
この手引きでは、
緑化水準A.生物多様性保全上極めて重要な地域・超遅速緑化
緑化水準B.生物多様性保全上重要な地域・遅速緑化
緑化水準C.生物多様性保全上地域的な配慮が必要な地域・急速全面緑化
と区分している。C、B、は外来牧草を用いても良く、
Cは、従来の浸食防止を緑化目的とし、急速全面緑化を図ることが望ましい箇所であ
り、Bは、外来牧草を用いるが、播種量低減手法により、粗な植生状態を造成し、
周辺植生の侵入定着を容易にし、速やかに周辺樹林へと遷移を図るものである。
これに対しAは、導入植物の遺伝子レベルにまでの配慮、すなわち交雑させない
ため、地域性種苗を用いなければならない箇所という事になる。
このような地域区分・環境区分・緑化水準を設けることにより、その地域、現場の緑化
目的、緑化目標が定まり、導入植物の選定、緑化工法の採用が容易となるものである。
2.緑化目標が曖昧である
外来牧草を用いて急速全面緑化を行う場合は、草原型の法面植生を単期間で造成
する事がてきるが、周辺環境になじみ、樹林状の群落が形成されるまで30年以上の
年月が必要となる。
これに対し、自然回復・生物多様性保全に配慮した法面緑化を行う場合は、5~10年で
樹林状の群落を造成することとなり、その後は、自然の推移に任せることとなる。
このため、緑化目標と一口に言っても時間に大きな差が生じてしまうこととなる。
しかし、土工指針では「最終的に形成する群落型等の緑化目標」記すだけで最終の
実態が明らかにされていないため、混乱を発生させることとなる。
日本緑化工学会斜面緑化研究部会では、「自然回復緑化の考え方」において、緑化
目標は、「最終緑化目標」推移可能であり、技術的に予測し造成できる範囲の群落型を
「初期緑化目標」とすることを提案している。この場合の予測とは5~10年で樹林状の
群落の造成が可能という程度である。
このような未整理の部分などについて示しつつ、解説を行った。
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