「ひまなか(中野裕司)」の感じ、考えたこと・・・・・・・・・。                                  ML・FBなどの投稿を掲載します。

TDMのみなさん。
「ひまなか」こと中野です。

必要土量の話から、樹木根系と岩盤、適地適木まで話が拡散してきました。

これらについては、みなさまの経験から、大いに語っていただきたい問題です。
もう一つ、土壌改良の宿題も残っていました。
いずれも、樹木医として重要な課題と思います。

マニュアル・仕様書思考から、現場発想への変換、自然から学べということなのでしょう。
皆さんが現場で見たもの、感じたことをお知らせいだけると助かります。

拡散ついでに、さらに話を拡散させてしまいます。

東日本大震災の海岸防災林の状況についての報告ありがとうございます。

津波被災地をみてまわったところ、海岸林が空き地となり、そこに震災瓦礫の集積が始まっており、その瓦礫のを撤去しないと海岸防災林の再生はできないの声が聞こえてきました。そこで、震災瓦礫を土壌資源として活用する方法(エコサイクル)を提案しました。

林野庁、国土交通省サイドに提案しましたが、同様に考える方が多数いたようで、震災瓦礫を築堤に埋めるという(案)が出てきました。

東日本大震災に係る海岸防災林の再生に関する検討会 など
http://www.rinya.maff.go.jp/j/tisan/tisan/kentou.html

しかし、ただ深いところに埋めるというのでは、ゴミを目に見えないところへ隠してしまえ、というこれまでと同じゴミ処理の発想のため、コンクリート、アスファルト瓦礫を積み上げ、その隙間を岩盤の割れ目に見立て、その割れ目沿いに樹木根系を深く侵入させ、震災瓦礫と樹木根系による複合補強築堤造る事を提案しました。
正木さんのおっしゃる、流れ盤的なクラックの沢山ある様相の地盤を造ってしまえ、という訳です。
今風に言うならばストラクチャル・ソイル・ミックス(SSM)ですね。

それにより、海岸側には塩水のエコトーン、陸側には淡水エコトーンを造ると生物多様性も生まれる。
海側は、痩せた土壌としマツを、築堤背面風裏には木質系の震災廃棄物を堆肥化し混ぜ込み少し肥えた土壌としカシワ、コナラなど落葉広葉樹、中低木を配しましよう。また、松島では多島海により津波が分散され、互いに打ち消し合い被害が少なかったのにヒントを得て、平野部では多島海状の築堤構造とするなどの提案を行いました。れにより、景観的にも風情が生まれます。秋田県の象潟、九十九島のような景色です。
http://kakurezato.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-d386.html
こうするとおもしろいよね、やってみたいねと言う盛り沢山の提案です。

これについては、6月に仙台市で行われたフォーラム、及び9月に遠野市で行われたプレフォーラムにて話す機会を得ました。
また、(財)日本環境センター機関誌「生活と環境」誌に原稿が掲載されました。
H23.09.01生活と環境 海岸エコトーン

フォーラム 仙台湾 / 海岸エコトーンの復興を考える
― 浅海・砂浜・防潮堤・湿地・海岸林・農耕地を一体化する視座 ―
日時:2011年6月4日(土) 13:30~16:30 (開場: 13:00)
http://www.tohoku-gakuin.ac.jp/news/110531-1.shtml

三陸エコビジョン・プレフォーラム「海と人との持続可能な共存を求めて」
~三陸被災地の持続可能な自然と共存する復興を目指して~
日時:2011年9月6日 2011年9月4日(日):13時~17時30分
http://tonomagokoro.net/archives/6892

これまで、瓦礫を埋めてしまえなどと言おうものならば、自然保護団体系の方々から総攻撃に合うのが常でした。
今回は様相が異なりました。理想論をいえない状況、より現実的な対応が求められているのでしょう。

仙台でのフォーラムでは、他の話題提供者に対しするどい質問を投げかけていた市民の方がいらっしゃいました。
私の番になり、なにを言われるかなと待ち構えておりましたが、なにも質問が出ません。
やれやれと胸をなで下ろすやら、拍子抜けするやら・・・。
フォーラムが終わった後、尋ねてこられ私の話が一番おもしろかったと感想を述べてくれました。
これまでの同様の集会とは、大きく様変わりしたことを感じました。

このような動きが遠野でのフォーラムへとつながりました。
遠野で行ったフォーラムの話しに対し、地元自治体に働きかけたいという要望がありましたので、提案書の形で取纏直しし直しました。

これは、海岸防災林のみならず、防潮堤も同様の構造、すなわち、土(石)構造物+樹木根系緊縛による複合補強土とする(案)です。
H230924石土根系補強築堤提案(1)
土木屋として考えると、コンクリートによる防潮堤を作り直すと土建屋が潤います。現実は、その方向へと進んでいます。
災害復旧予算は災害前と同じ状態に戻すことが前提、仕様書・マニュアルなどが整備されている。前例が沢山ある。が理由です。

しかし、50年、100年というロングスパンに対し、コンクリート構造物の耐久性を考えると持たないのでは無いでしょうか?
土木分野で永久構造物とは50年です。鉄筋コンクリートの場合は50年、ダムのようなマスコンクリートでも100年です。これは、コンクリートの中性化による劣化です。劣化を防ぐために様々なメンテナンスの方法が考えられていますが、限界があります。
100~200年スパンで考えると、造っては壊し、造っては壊しの繰り返しです。その間に、維持管理補修を行わなければなりません。
少子高齢化で社会構造が変化しております。これまでのような税収が期待できません。
政府は借金で身動きがとれません。

地獄の賽の河原の石積みと同じ様相が思い浮かびました。
賽の河原で、子供たちが石を積みますが、積み上げたと思ったら鬼が来て壊します。
その繰り返し、無間地獄です。

子孫にそのような負の遺産を残すよりも、ありきたりの土(石)構造の方が耐久性の面では実績があります。
歴史的構造物と呼ばれるものは、土(石)構造物です。
まして、樹木根系により緊縛し補強するならば、永久的に持つのではないでしょうか?
むろん、健全な樹木を維持するための維持管理を行う必要はあります。

欲を言わせてもらうならば、このような土構造物が築かれることにより樹木医の出番が増えます。
巨樹老木、天然記念物、街路樹と市場を拡大してきましたが、新たな市場確保のためにも、このようなことを考え提案してゆくことが必要でしよう。

このような考え方は、今後予想される東海、東南海地震のための備えとしても重要です。

子々孫々に負の遺産を残さない、景色がよくなり、今流行の生物多様性もアップする、樹木医の職分も増える、良いことだらけの仕組みを作りたいものです。

ご覧の上、ご批判いただけると幸甚です。

以上 (お前、こんなことを書いている暇があったら依頼した仕事をやってしまえとの声が聞こえてきそうです)

コメント先: "築土(石)根系補強土の提案 海岸防災林・防潮堤の築堤" (2)

  1. Takayuki Kuribayashi のアバター

    震災瓦礫の処理が進みません、受け入れしてくれる県も少ないです。消却処分しても再度放射能がまき散らす事にもなります。受け入れの住民の反対も過剰ですね。この素晴らしい提案が実現される事を切に願います。震災瓦礫を土壌資源として活用する方法(エコサイクル)による根がしっかり張る広葉樹による防災林で豊かな東北の沿岸が蘇ると素晴らしいですね。東北沿岸をけっしてコンクリーの防災堤で囲む自然崩壊した景色は観たくないものです。

  2. […] 土壌は、陸上植物の生存を支えるため「海」の機能を陸上に持ち上げたものであり、そのような観点からの土壌・生育基盤整備を行う必要がある。 また、土壌というと、農地土壌の考え方の影響が大きく、均一な土層を想定することが多い。しかし、自然界の土壌の多くは、岩盤の上に薄層の土壌が存在、石礫地など不均一で僅かな土層の中で植物・樹木は生存している。このような土壌をモデルとした土壌づくりが都市部でも必要。 近頃では、耐圧基盤・ストラクチャルソイルミックス(SSM)等という概念が出てきたが、法面緑化の世界では30年ほど前からアスファルト破砕物を有機質系資材と混合し植物生育基盤を造成する技術(ミライクル緑化工法)が開発・実施され、地温が上昇するなどのデータがあり、良好な成績を示している。 この技術は、高温多雨な地域に人為的に乾燥型の生態系を造り出し草花を咲き誇らせるグラベル緑花工法、これを応用した都市屋上緑化技術「GreenField無灌水屋上緑化システム」、さらには、耐圧基盤として街路樹、学校校庭緑化、緑の舗装などとして用いられている。 また、近頃では、このような技術を用いて、東日本大震災の津波被災跡に、築土(石)樹木根系補強土により築堤を行い、海岸防災林・緑の防潮堤を造るよう提案をしている。 都市部では、人・車の通行による踏み固め・踏圧と植物の生育を両立させなければならず、耐圧基盤を用いる事が有利である。 耐圧基盤は、骨材のかみ合わせにより荷重を支え、かみ合わせの間の隙間に植物根系を誘導するものであり、根系発達が良好となることが確認されている。 このような技術を活用し、植物根系の発達を促すことにより、より健全な地上部が形成され、多様な生物が生息する緑空間・都市空間が形成されるものと考える。 また、耐圧基盤はポーラスで空隙が多いため、降水は速やかに耐圧基盤中に浸透・貯留されるため、ゲリラ降雨・異常発達した台風などによる都市洪水の抑制・地下水涵養に対しても効果的である。 […]